カネミ油症の次世代調査
こんにちは土庫澄子です
今日は予報通り春の陽気、蕾がほころびはじめた梅林を散策してきました
みなさまいかがお過ごしでしょうか?
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カネミ油症の次世代被害については昨年12月に支援団体が調査のまとめを公表しました
今年1月30日には厚労省が調査を行う方針を明らかにしたと報道されました
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カネミ油症被害者支援センター(YSC)の調査はこちらをご覧ください
カネミ次世代被害者アンケート調査報告(概要) – カネミ油症被害者支援センター(YSC) (yusho-support.com)
厚労省から研究費を受け、厚労省と連携して調査を行うという全国油症治療研究班の辻班長インタビュー記事はこちらをご覧ください 長崎新聞の記事です
カネミ油症次世代調査 油症認定の基準見直し 研究班長が方針(長崎新聞) - Yahoo!ニュース
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事件発生から半世紀を超えるカネミ油症は、当時健康被害を届け出た人が1万4千人を超えるといわれます
現在までにカネミ油症と認定された方は累計で2350人(昨年12月31日現在)、いまも1万人を超える方が未認定と考えられています さらに、汚染油を喫食していない子や孫という次世代への健康影響が心配されています
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合成化学物質は生活のすみずみに入り込んで、気づかないうちにからだに悪影響を及ぼす可能性があるといわれます そのメカニズムは遺伝子レベルで研究が進んでいるようです
100%文系、化学式は苦手、医学レポートを読むのはひと苦労というわたしにはカネミ油症被害救済の話は険しい難行苦行です
そうはいってもどのようなケースであれ、消費者安全の話は法律だけではうまくいきません なにが起きたのか、どうすればよかったのか、これからなにができるのかを考えるため、その都度関係する科学の扉をあけ、初歩から学ぶのは宿命のようなものです
いちいち立ちすくんでいたのではなにもできないので、初心に帰るというような立派な心掛けではなくいつもなりゆき、永遠のビギナーとして取り組んでいます
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昨年はカネミ油症について書いたり、話したり、断続的に3回の関わりがありました
最初は書きもので、テーマは昭和期のカネミ油症判決の読み直しでした
次も書きもので、これからのカネミ油症救済スキームについてでした
三度目は12月6日のオンラインプレゼントーク
カネミ油症の原因企業に期待される社会的責任や次世代被害の救済などについてでした
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3回ともギリギリまで悩みましたが、3度目のプレゼントークが1番難しいものでした このときはコトバの問題につきあたり、逡巡したあげくにウィトゲンシュタインの哲学探究の断章を読むほどでした
考えあぐねて困ったとき、哲学はどうにもならなくなった只中からもう一度考えはじめるための杖です
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今回は、哲学探究のこんな文章が杖になりました
「透明な純粋さという先入見は、われわれが自分たちの考察をぜんぶ転回させることによってのみ、とり除くことができるのである」「われわれをわずらわしている混乱は、いわば言語が空回りしているときに生ずるのであって、言語が働いているときに生ずるのではない」(いずれも藤本隆志・坂井秀寿訳です)
学生時代は読んでもピンと来なかったあの後期ウィトゲンシュタインが巣ごもり生活のなかでやぁどうしたと肩越しに話しかけてくれる近しい友と感じられたのは思ってもみない奇跡でした
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そして目の前にひろがり視界をさえぎる分厚い霧をとり払ってくれ、靴底にべったり張りついた重たい泥を洗い流し、前をみて歩けるようにしてくれたのがウィトゲンシュタイン1941年の断章です
「哲学者のつかう言葉は、いわば窮屈すぎる靴のおかげですでにゆがんでしまっている」(反哲学的断章 丘澤静也訳)
この断章は心を強くしてくれる支えになりました 哲学は心の奥まった部屋へ招きいれ話し合える友であり、心の奥でその声を聞きたい最高の師です
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そしてこのプレゼントークでようやく裁判規範だけでなく社会規範でもあるPL法の立法思想に思い至りました こちらはエールリッヒの生ける法をベースに考えています
研究していたケルゼンと同時代人のエールリッヒは、ケルゼンとおなじくらい大好きな法思想家です 灯台下暗しすぐそばにヒントがありました
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そもそもカネミ油症事件はPL法が誕生したひとつのきっかけですし、もともとは哲学法哲学を研究していましたので、昨年暮れのプレゼントークはなにかの縁だったのかもしれません
2020年のホップステップジャンプ?を糧にまた少しずつでも考えていければとおもいます
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今後ともどうぞよろしくお願いいたします☆